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ザ・クリエイター/創造者のerikaのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.5
"人間とAI。その違いとは?"

人間だから、AIだからという言葉の無意味さをすごく感じる映画だった。過去にAIが核を爆発させたことを理由にAI狩りを強行する西側諸国とAIと人が共存するニューアジア。西側諸国はニューアジアとの戦争ではなく、あくまで人間の滅亡を企むAIの殲滅が目的と強調しているがその行動は酷く独善的。軍を送りノマドと呼ばれる空中軍事施設から爆弾を投下するだけ。そこに住む人とAIがどんな暮らしを営んでいるかは関係なくただAIが敵だからそうするのです。

マヤが語った孤児を育てるAI達の村の話は1番心に刺さって印象的。孤児達の住む村に爆弾を落とした"人間"と亡くなった子どもを想って後を追った"AI"。孤児達を慈しんだAIの行動は"人"らしい心のあるものだし、AIを一律に敵としか認識出来ない人間はまるで"機械"のようです。アルフィーを案じるジョシュアに「あれはただの機械だ」と言った兵士がいましたよね。彼に「あなたはただの肉の詰まった袋では?」と問うてみたい。AI狩りを良しとする人々に"肉の詰まった袋"を人間たらしめているのは何なのかを教えて欲しい。

私には彼らの答えを想像出来ない。何故なら私は人間らしさは心にこそあると思っているから。AIが人間にも匹敵する心を持っていると感じた時点で、人間だのAIだのという言葉に枠組以上の意味を感じない。AI達をモノとしてしか認識していない人からすれば、その心は単なるプログラミングにすぎないのかも。その場合は相容れないだろうな。認識の強要は出来ないから違いに気づく機会に恵まれますよにと願うことしか出来ないね。

ギャレス・エドワーズ監督の作品は『ローグ・ワン』に続いて2作目。壮大なSF世界の表現が素晴らしいのはもちろんとして、それ以上に意義を考えさせられるストーリーが刺さるなー。次回作を期待してます。
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