回想シーンでご飯3杯いける

ザ・クリエイター/創造者の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
2.6
日本公開からまだ2ヵ月と少しという早い段階でDisney+で配信開始。BD市場が縮小している証拠だろうか、最近はソフト発売より先に配信を始める作品が増えてきた。

本作は「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが監督、渡辺謙が出演、そして日本人が大好きなAI vs 人間の戦いが題材という事で、劇場公開時の評価が高かった作品。

いざ鑑賞してみると、現代と地続きの2075年の世界をニュース映像風に見せる冒頭から、「スター・ウォーズ」直系のメカ、バトルが展開する迫力満点の映像に圧倒される。音楽はハンス・ジマーに加えてレディオヘッドの有名曲も挿入される。近未来SFが好きな人であれば否応なしに反応してしまうシーンが満載だ。

しかし、正直に言えば、40年以上前に公開された「ブレードランナー」や「ターミネーター」以降、AI vs 人間を題材にした映画は多数存在し、その世界観や映像表現に於いても、僕は既に新鮮味を感じない。近未来の話でありながら、もはや懐かしさを感じてしまうと言っても良い。

人間側は軍人しか登場せず、対するAI(本作ではAIを搭載するロボットをこう呼ぶ)は、非武装の固体や子供も登場する。その両者を比較して、人間の方が戦闘を好む種族だと発信する本作の価値観も、あまりに雑ではないだろうか。

A.I.にも負の側面があるはずなのに、そこは殆ど描かれない。登場するA.I.では、一部の人間(言い換えれば、それは本作の製作者)が理想とする、人間的な優しさが強調される。それこそが人間のエゴなのではないか。スピルバーグが描いた2001年の作品「A.I.」には遠く及ばないと感じる。