Sasada

リアリティのSasadaのレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
4.0
とても実験的で面白かった。
録音から書き起こしたセリフによるストーリーテリングにはもちろん綺麗な起承転結なんてなくて、何なら冗談混じりの緊張感のなさが前半は目立ったりする。

FBI捜査官たちは家宅捜索であることは伝えるけれど本題には全然入らず、人はどんどん増えていくのに犬猫の話や「最近ケガした話」がダラダラ続く。当然証拠があるわけなのにそれはなかなか明かさずに質問し、細かく聞き出し、でも些細な矛盾を突いて動揺を誘う。この辺の緩急というか曖昧さが興味深い。

一方の被疑者リアリティ(すげー名前)にも緊張感はなく、「ああこれ冤罪なのか、、」と何度も思った。

明かされた真実そのものよりも、ニュースで報道される“過激なスパイ”像と、“あの家で尋問を受けていたリアリティ”の落差に驚く。分かりやすいテロップにすることでこぼれ落ちるものがありありと示され、なるほどそうやって人間の実像を描くやり方もあるのかと腑に落ちる。
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