真田ピロシキ

ラブ&ポップの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
2.8
昨日の『式日』に引き続いて庵野秀明実写作品。これは未見。見てなかったのは純粋に何の興味もそそられなかったからです。この映画の世代ですが学校なんてやめたくて仕方なかったエスエージーエーの民に取って、シブヤにたむろするエンコージョシコーセーのリアルとやらを見せられたところでメフィラス星人の日常くらいにしか感じられません。あーバルタン星人でもいいや。ウルトラマンよー知らんのよ。ともかく当時珍しいビデオ撮影だからか画角の狭いドキュメンタリーチックな映像で主人公らが映し出されても本当かよと、やっぱりメフィラス星人なんじゃねーの?と訝しがるばかり。この頃の庵野はまだ30代のはずだから若いけどそれでもオッサンには変わりないじゃないですか。しかも原作の村上龍はもっとオヤジだからオヤジが書いたジョシコーセーのリアルをオヤジが撮っている。それで若々しい感性の映画みたいに言われても。せめて30くらいの女性監督が撮るとか、或いはモヨコの方のアンノが描くのであれば地球人の話に見れたかもしれない。

そういう訳でジョシコーセーはメフィラス星人でしたが買う男の描写はキテる。これも本当のところは知らんので誇張が大きいかもしれんけど嫌な気分を味合わせるには遠慮がない。ゼットン級のキモさでウルトラマン(鑑賞者)を殺せる。撮り方もイチイチアングルがイヤラシくて、冒頭にあったスカートの中から下を捉えたカットなどHENTAIの極み。宮村優子の「気持ち悪い…」ボイスをMIXしてアルバムが作れそうなレベル。この変態性がどういう意図かによって評価が変わってて、庵野秀明はエヴァでの綾波やアスカの描き方を思うに客を喜ばせるために未成年の女体をサービスサービスする褒められない人だと思ってたので本作のエロさもそういう性的に消費させるものだと思っていたのだけれど、嫌悪感をMAXにさせる演出を見て考えが少し変わった。庵野はちゃんと倫理観を持っている…のだと思う。エヴァでアレなのは多分受け手の問題。

キモくて画面から目を離してた時間もあったのでスコアは低くしてますが悪い映画とは思いません。エヴァの影をあまり感じさせないのも好ましい。主役の三輪明日美は新人ということを差し引いてもビビッと来るものがなくて、画面に興味を持続させられなかったのはこれもあるかと思う。脇役に多分見た中で一番若い仲間由紀恵がいたりしてそっちに目が行く。ベストアクターは浅野忠信。この触れるもの全てを傷つけてそうな頃の浅野はキマりすぎてる。ライデンよりこの浅野の方がヤベー奴だよ。