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ぼくならいつもここだよの8637のレビュー・感想・評価

ぼくならいつもここだよ(2023年製作の映画)
3.8
心あたりのある現状を棚に上げて観る映画は面白い。

有り得ないようで在ってしまう、巡り巡る友情社会のお話。
友情って、浮気が許されちゃう。恋と違った形で盲目だし、出遅れてしまえば結局はその仲間内の横につく関係性に落ち着く。情緒が安定しない僕には向かなかったかもしれないけど、選択できたってわけじゃないけどもさ。作れば幸せだったかな、親友。

主人公が小説家志望っていうこれまたどこかただの馬鹿だと思えない、内に語彙や思想を含んでいるような感じが妬い。
スマホ持って映画作ろうと躍起になってたあの子、今何してるんだろう?"創作"に対する考え方がよく見えて、自分事に考えてしまった。

まぁだって、こんなに創作に貪欲に頑張り続けてる若い映画監督が作った作品なのだから。

昨今はハリウッドが極端に長尺で、対して短い映画の量産もあって...という中で、シタンダ監督の長尺は、何というか、"受け入れられる"。オールジャンルをさらっていくから見応えがあるし、ふとして起こる会話劇の積み上げがなぜかクセになる。
全登場人物が終始語彙力有り余ってるのが観ていて気持ち良い。

それはそうと、スマホにレンズをそのまま付けてあんなに鮮やかでブレない画が撮れるものなのか... 2年前撮影ということで、「もしや不愉快な少女」あたりのセンス弾けたようなショットと編集が幾らでも観られて興奮する。初の劇場上映がこの映画なのも、昔から今に繋がるシタンダイズムの良いとこどりを観てもらえるようで良き。
撮影媒体が軽いからこその揺れ、躍動感、自在さ。そんな中で色合いは10年代のインディーズ映画みたい。劇場まで来ると、セリフや音はどう録っているのかも気になった。
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