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ゴジラ-1.0の8637のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
日アカも米アカも獲ったし、そろそろ社会常識になるだろうと思って駆け込んだ久々の劇場。
心のうちとしては..."前作「GHOSTBOOK おばけずかん」で公開当時なんとFilmarks投稿数3桁を叩き出した(しかも東宝配給で)山崎貴監督が、それでも東宝に選ばれて記念的な作品を撮れるのは何故だろうか。"

結果的には、図らずも"ゴジ泣き"してしまった。

最初の驚きとして、ドラマ要素が多いことに面食らった。
2016年の革命、強烈なインパクト。私のようなティーンエイジャーにとっては、時代的に「シン・ゴジラ」という一つの正解、いや、指標を見せられてしまったので、会議ばかりを重ねるのがゴジラのデフォルトであると錯覚させられていた。しかしそれは庵野秀明の作風でもってあの映画なんだと、今作で改めさせられた。
しかも今作の感覚は自分にとって割と"賛寄り"だ。意外にも新鮮だったし、現代において"ゴジ泣き"を結びつける為の王道の手法なんだろうなと思った。実在する大戦の歴史とも上手く絡まっていたのも凄い。
YouTubeで監督自身が語っていた「出したい機体を発売から1年前の時間軸に登場させても大丈夫(今作で言う"高雄")」については少し疑問を持ったが。

次に、描写が半端ない。「シン・ゴジラ」にも、生ぬるい山崎貴作品にもない鋭利さを持っている。
何より、ちゃんと人を殺すゴジラが映っている。(悪の)ヒーロー的に描くことを一切許さない、これぞ真のゴジラなのではなかろうか。人間に合う構図で映していると突然、ゴジラの皮膚が画面を覆う。これもアリなんだ。

加えて、ゴジラが原爆実験によって生まれた放射吐きである歴史を踏まえ、その表現に果敢に挑んだとされる心意気。
捉えようによっては「オッペンハイマー」日本公開における騒動よりも衝撃的。そもそも戦争では笑えないし、こんな一大エンタメと化すなんて無礼かもしれなかった。日本アカデミー賞にどこまで権威があるかはさておき、日本という国の歩んだ歴史を踏まえて賞を与えられるべき作品だったように感じる。

自ら望んでエキストラ出演したと言われる橋爪功の一瞬さには笑った。
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