サマータイムブルース

プリシラのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.5
「ヴァージン・スーサイド」「マリー・アントワネット」のソフィア・コッポラ監督作品

プリシラが14歳でエルヴィス・プレスリーに出会って、結婚して27歳で別れるまでを描きます
原作は本人の回顧録「私のエルヴィス」を元に多少脚色してるみたいです

どうしても2022年の「エルヴィス」と比較しちゃうけど、あちらは主にエルヴィスとマネージャーのトム・パーカー大佐との関係やその搾取を中心に、彼の繁栄と衰退を描いていましたが、こちらは唯一の妻であったプリシラ目線で描かれています
今回大佐は直接出てきません
仲間内の話題として名前が上がったり、エルヴィスと電話を通して話しするシーンはありました

ちなみにエルビス役はあちらがオースティン・バトラーさん、こちらがジェイコブ・エロルディさんで、雰囲気はこちらの方が似てるかなと思いました
さらに言うと向こうのプリシラ役はオリビア・デヨングさんでした

プリシラが可愛くて、おしゃれで、当時のファッションやヘアスタイル、音楽を楽しむガーリー系、だと思って見ていたらどうもそれだけではなさそう

プリシラは外見が派手で自立した女性に見えますが、実際はそうではなく、箱入り娘で、純情で、従順です
それはエルヴィスと交際を始めてからも一緒で、男に従順な女の姿を体現しています

エルヴィスは彼女に一目惚れして、初めはとても紳士的で、愛情を伝え、子犬をプレゼントしたりとても優しいです
いい人じゃん!!と思ってました

ところが次第に変わっていきます
柄のドレスを着ていると、似合わないから無地のドレスにしろと決めつけたり、髪を彼好みのブルネットに染めさせたり、公演で不在の時は俺が電話したらすぐに出られるように家にいろだとか、気に入らないと椅子を投げつけ、直後にすまなかった、愛してる!!とツンデレったり、自身の飲んでいる睡眠薬やドラッグを共有させたり、すべて自分好みの女であるように強制して来ます

極め付きはベッドを共にするようになってから、彼女が求めても、まだだ、まだその時じゃない、と、結婚するまで頑なに拒み続けたことですかね
宗教上の理由があるみたいですけど、つまり、多分彼女は結婚するまでホントに処女だったと思われます
それでいて彼はあちこちで浮き名を流し新聞沙汰になって、プリシラはヤキモキします

まだこの時代の男女関係はこんなもんだったのでしょうか、男の傲慢さ、女の無抵抗さにイライラします
エルヴィスの親族やファンはどう思ってるのかな、間違いなく彼のイメージダウンにつながると思うんだけど

コッポラ監督はそれを肯定も否定もせず、淡々と描いていきます
もっとポップで可愛い映画を期待していたので、ちょっと意外でした

使われているサントラはプレスリーの楽曲ではなく、この時代の雰囲気にあった当時のものが多くて、そこはとても良かったです🎵