くりふ

骸骨の踊りのくりふのレビュー・感想・評価

骸骨の踊り(1929年製作の映画)
4.0
【お笑いダンス・マカブル】

ディズニー“シリー・シンフォニー”シリーズの第一作…いきなりホラーコメディか!

もう100年近く前のアニメだが、かえって新鮮。よく考えたなあ…と感心する動きのアイデアに満ちており、楽しくて思わず、ニヤけてしまう。

一方でちゃんとホラー要素も効いており、真っ暗な映画館の大画面で見たら、子供ならギョッとしたんじゃないか?デンマークでは、不気味過ぎると上映禁止になったらしいし。

今よりずっと、死が身近だった中世に生まれた芸術様式“死の舞踏”が、表向きは死が見えづらくなった現代に、カジュアルに、笑いといっしょに蘇る。…もちろん、墓から。

医学的正確さより、楽しさ優先の骨利用。アニメは元々、こんなんでよかったんだよね。日本アニメの過剰な進化を異常とさえ思わせる、プリミティブな魅力が最後まで、ホネ踊る。

動きは時に、機械的単調さに陥るのが時代のご愛嬌。即、次々と笑いで上塗りされるが。

骨なのに、飴みたいな変形もするが、今ではこうまでフリーダムに動かさないよね。手塚治虫の漫画でよく、過剰に脱線して笑いを取り損なっていたが、影響関係あるように思える。

実際の描画はアブ・アイワークが行ったそうだから、この面白さは彼の功績でしょう。近年のディズニーアニメは、複雑化する世界にうまく波乗れていないようだが、こんな単純に動く面白さへ原点回帰してみても、いいんじゃないホネ?

<2024.1.15記>
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