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ほかげのmsyのネタバレレビュー・内容・結末

ほかげ(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

戦争を描いた成熟の極みの映画だった。戦争の悪事がくっきりと立ち現れていた。音楽も素晴らしかった。

予告編見てイメージした、趣里さん演じる女が孤児を拾って擬似親子になるお話かと思いきや、女が少年に依存していく流れになって裏切られた。また前半後半で大きくメリハリが付いていて面白かった。

それにしても趣里と森山未來を従えて物語の核になる少年がすごかった。家での子どもらしい振る舞いに反して一歩外に出たら闘う一個の人間…ラストの食器洗いのところ涙が止まらなかった。趣里が言ってた「ちゃんと仕事してご飯を食べるのよ」これって本当に人生の全て…混乱した戦後の闇市で自分であの選択をした少年に泣いた。元教師の復員兵にワークブックを返しに行くエピソードも上手かった。二度と回復しない傷の大きさ。メッセージをストレートに伝える奇をてらわない美しい映画だった。

そこに寄与する趣里さんの佇まいの美しさ。寝姿(後ろ姿)の表情といい、白い手が浮かび上がるタイトルバックといい、作品の格を大きく上げてた。彼女の姿はリアルの追求よりファンタジー寄りになっていたからつらい話が見やすくなっていたと思う。
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