RYUYA

ほかげのRYUYAのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.0
まずスゴいのが、最初の数十分間ずーっと小料理屋〜小上がりの1Kだけで展開している点。周りの景色が一切映らないのに、そこが戦後の焼け野原であることが強烈に理解できる。これ、近年ワンシチュエーション的に映画を作ってきた塚本監督の演出の到達点だと思った。ってかその後も森と闇市くらいしか出てこないし。かといって舞台的でもない、めっちゃ映画!って感じがするのがすごい。子どもを主役に、スーパー実力者俳優2人が熱演を見せ、脇の若い俳優さんもスパークしてる。この座組も素晴らしい。常にフックアップもしているのがカッコイイです。『野火』で戦中、時代は違えど『斬、』で戦前、そして戦後の生活を描く今作と、撮る順番も明確で頼もしい。

森山未來さんが「けじめ」をつけにいくシーンで、その身体性を発揮する、ある“ポーズ”をとるのですが、そのカリスマ性にゾクゾクゾクッときた。スゴい役者さんだな。戦後なんだけど、今思えば身なりは完全に普段の森山さん、なのに馴染みまくってる。どの時代でもイケてる俳優。
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