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ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版のcollinaのレビュー・感想・評価

4.7
劇場で観た後から、ふとしたときにこの映画が脳裏に過ぎるので、久しぶりに残しておこうと思った。

レオの魅力の一つは「男らしさ」の欠落だろう。フランスといわれて思い出すベルモンドやドロンのような俳優たちとは一線を画している。そこに監督たちは自らの声をレオに託す可能性を見出し、「男らしさ」の欠落がスクリーンで発揮されたのが、この「アントワーヌ・ドワネルの冒険」であり、この「ママと娼婦」だろう。

なぜこの話に3時間超が必要なのかと思っていたが、おそらく90分ではアレクサンドルに苛ついて終わるだけで、言葉の洪水の3時間超があの最後まで辿り着くには必要だったのだろうと確信した。あの空疎な乾いた言葉の渦に、心地のよい不愉快さを見い出し、もう一度観たいと思いつつ、劇場を後にした。

言葉だらけの映画について、言葉を尽くして何か言うのも空疎の極みだろうし、私も「観た」というよりも、映画を「経験した」ような気分なので、暗闇で周りから遮断された環境で、3時間超を過ごすことを勧めたい。
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