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枯れ葉のcollinaのネタバレレビュー・内容・結末

枯れ葉(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いつもどおりのユーモアと、少しおおめの優しさ。

アキが新作を製作しているというニュースを目にしてから、ずっと待っていた新作。始まった瞬間から、カウリスマキの色彩が広がって、それだけで泣きそうになってしまった。ああアキがスクリーンへと、帰ってきた。

「希望のかなた」から、世界は全く良くならないし、どこへ向かうのかわからないし、日々の生活もなかなかよくはならないけれど、それでも日々は続く。

ひどくなるばかりのやるせない世の中で、カウリスマキの目線はいつもよりもさらにやさしい。切実なおとぎばなし。まだどこかで人間をつなぎ止めておけるんじゃないだろうかと、まだ望みをもっていいのではないだろうかと。

もはや世界のどこにいても、日々押し寄せる不安。国を出ていくことはもうしない。理想郷など存在しない。今いるところで、日々生きて行く。その日々のなかにある、くもりぞらの日でも、寒々しい日でも、そばにいる人たちの手をそっとにぎって、はなさないでいたい。


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- 過去作出演の俳優たちがあちらこちらに顔を出し、他の映画を連想させるシーンが散りばめられて、全ての世界が繋がっているような感覚だった。
- 何よりアキの色彩感覚にやられっぱなし。本当に全シーン決まっている。特にアンサの家。
- これもいつも通り、音楽が最高。マウステテュトット、これはハマってしまうな。
- 何よりアキがこんな世界でも、また映画を撮ってくれたことがうれしい。

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少しずつ映画や本の世界に戻ってこられたような2023でした。書くことの喜びを思い出したような。ポツポツブログも始めてみました。もっと書いたり、観たり、読んだりする2024にしたいなと。
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