月の裏側にナチス党の施設を発見した宇宙飛行士が、親衛隊の手回しにより捕虜として捕らえられてしまう。製作のために支援者から総額1億円のカンパを得ている、SFアドベンチャー。
本作では、ナチスという集団を映画的に面白くさせるための一要素として採用。シニカルなポリティカル・ジョークが出てくるけれど、どれもウンコチンチンネタと同レベル。政治的メッセージを伝えて、鑑賞者に考えさせる作風にはなっていない。
「俺達カッケー!」的なアメリカ精神を滑稽なものとして扱い、アメリカ様とナチスの凌ぎの削り合いをB級テイストで描いていく。カルチャーギャップ・ネタでしっかりと笑わせられるし、大迫力の戦闘シーンでは十分にエキサイトできる。
とりわけ、ナチス側のアナクロなメカニック・デザインが秀逸であり、宇宙仕様になっているヒンデンブルグ号がカッコいい。ただし、地球連合軍とナチス軍が派手にドンパチする物語ではないので、そこを期待するとガッカリさせられる。