杉咲花と若葉竜也なんて最高すぎるキャスティングだなぁと何気なく観に行ったが、今年一、息が苦しくなる作品だった。
「戸籍がない」。ただそれだけ、しかしそれほど生きづらいことはなくて、市子は存在を否定され苦しみながら生きてきた。親や兄弟にも更に追い討ちをかけられて。
それでも、何があったとしても殺人は許される行為ではない。それは絶対、絶対なんだけど、それさえも揺らいでしまうほどしんどいシーンに心を抉られた。
長谷川くんは彼女にとって安らげる場所であり、希望の光。大切なものを失う苦しみは計り知れなかったでしょう、しかしいつか失うと怯えながら生きることもまた辛いのかな。
過去は変えられない。しかし戸籍がないから婚姻できないんじゃなくて、まず罪を償わなくてはいけないから、それだけなんだよ、そうあってくれ。
彼女がいつかお味噌汁の良い匂いに包まれる暖かい家庭を築けますように、今後こんな苦しい人生なんて誰にも訪れませんように。
