このレビューはネタバレを含みます
三年間同棲した長谷川からプロポーズされた次の日、市子は突然失踪する。失踪届を出した長谷川だったが、警察から川辺市子という女性は存在しないと告げられる…。
まず、法律が古すぎて悪い。
そして、母親が頭と性根が悪いよね。
どの面下げて涙流せるんだろう。
そして、周りの大人も悪すぎた。
社会のバグの犠牲になった子供ほど可哀想な事はない。社会、親、周りの大人が守ってあげなきゃいけない存在なのに。
月子の死と無戸籍問題は全然違う問題だけど、市子が日本の社会の中で市子として存在していたら、あんな悲しい事にはならなかったかもしれない。
小泉の死はめちゃくちゃ自業自得なんだけど、ああやって人の弱みを利用する人間って本当に気持ちが悪いな。北くんも市子を助けたふりして、結局自分の思い通りに傍に置いて置きたかったんだから、やっぱり気持ち悪い。
市子のしてしまった事は決して許される事ではなかったかもしれないけど、情状酌量の余地は大いにあるでしょう。
そもそも何も悪くなかったんだから。
長谷川みたいな本当に安心出来る相手にせっかく出会えたのに、過去はどんどん市子を追い詰めるし、自殺したい人がいたら、いらないなら戸籍ちょうだいよって思う気持ちは罪じゃないと思う。
映画としては、ちょっと色々詰め込んだかな感はありつつも、こんな悲劇が起こらないとは言い切れないよなーと涙しながら観てました。
これを観ていて、令和の虎受験生版の無国籍の女の子思い出した。
ブラジル人の父親とタイ人の母親の元に日本で産まれて、ずっと日本の教育を受けてきた日本人でありながら、ビザを持っていた父親が亡くなってしまい、母親が不正入国者だった為に日本国籍を持てずに戦ってきた女の子。
成人すればまず日本にいる事を認められるんだけど、在留資格がない仮放免状態の今は保険証も口座も作れず、周りの好意で集まった寄付も自分と弟の医療費の為に使わなければならないから、保育士の学校に行く為のお金を100万円融資して欲しいという話だった。
そもそも不法滞在をした母親が悪いんだけど、父親が亡くなった今、母親と離れて日本で暮らすか、タイに帰るかみたいな話で、でも彼女は日本産まれ日本育ちだからタイに帰る意味も分からないからずっと戦ってきて、叩かれるのも覚悟で初めて顔出しをしたんだよね。
その後に彼女と弟さんは特別在留許可が下りるんだけど、本当に何にも悪くないし、全てを恨んでもおかしくない状況の中で、自分の未来をこじ開けようとする彼女の姿には涙が出たし、こんな社会のバグがあるのかと苦しくも勉強になりました。
知らないだけで、色んな事が何も悪くない子供達に降り掛かっているし、実際、無戸籍の子供は日本にもいるんだろうから、どうにか社会と法律で守ってあげて欲しい。
もし、困っている人がいるなら勇気を出して全力で助けてと訴えて欲しい。絶対に助けてくれる人がいるし、声を上げれば行政も世の中も動くと思う。
杉咲花がとっても素晴らしかったですね。
めちゃくちゃ良かったー。
2024-050
