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悪は存在しないのmtのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前作『ドライブ・マイ・カー』が割と刺さったので、今回もそれなりに期待して劇場へ。
冒頭から石橋英子さんによる音楽とともに森の中から見上げた空がドリーショットで流れる画が延々と続くところから「これはちょっと覚悟して見る映画だな」と思って身構えたところへ、あまりにも朴訥すぎる巧はじめ村の人々。
そして語られるのは村にできるグランピング場についてのあまりにも定型すぎるありふれた(?)ストーリーで、意外とすんなりと分かりやすい話に拍子抜けしつつも話の先行きを楽しみに視聴していました。
途中から視点が芸能事務所側に切り替わるのも、なんとなく予想通りだったのですが、「あー結局こういう話か」と油断して、こちらも予想した通り花ちゃんが行方不明になった途端にあのラスト!!!!
最初は「これ絶対ラストどこにも持っていくところがなくて”余韻のあるラスト”ということでぶん投げただろう」と思い、最後に無駄に高橋がフレームインしていくるのも、色々な方面への配慮のように見えて、なんか縮こまった感じだなーと思い、まあそれはそれでと思っていたのですが、ある方の感想を見て、これはネグレクト、育児放棄についての映画じゃないかという意見を見て、ハッとしました(遅い)
確かに巧と花が向き合うシーンは無かったように思うし、花を迎えに行くのをいつものように忘れてしまう巧の様子にも納得ができます。
「悪は存在しない」というのは巧の願いであって、自分の中にある「自由になりたい(そのために花が邪魔な存在になる)」という感情に正面から向き合いたくながための叫びだったんじゃないかと邪推してしまいました。
もちろんそれが正解だというつもりはないのですが、もう一度そういった目線で映画を見てみたいなと思いました。
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