バランスを壊さないように規範を立てながら善であろうとする人々。けれど対話や交感で理解は深まれど、その親密さに欠陥はないのか…
調和を保つ者と脅かす者という分かり易い構図から、その境界が曖昧になるも、本質には誰も及ばぬまま汚れは下流に溜まっていく。
豊かな自然と共に生きる水挽町の住民の懸念をよそに進められる、いい加減なグランピング場建設計画。
そんな上辺の理解だけで人間や自然の本質を捉えていない愚かさを、上流から下流だけでなく多層的に見つめてるのも興味深いし、事業担当者らの無知を嫌悪から愛嬌へと変質させる巧みな会話劇などもさすが。
ただ正直、途中まではこの分かり易い内容で〝悪は存在しない〟を語るのか？とやや物足りなさを感じてたけど、そこは濱口監督。そんな表層的な物語で終わるはずはなかったしw
無知なのことや、理解した気でいるのは悪ではない…ってのを割と穏やかに描き油断させといて、次元の違う結論へと導く。
そんなタイトルの重みを思い知らされるラストに震えた！
と、凄い映画だったし、個人的には『ドライブ・マイ・カー』よりも好きです。
