コーディー

辰巳のコーディーのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.1
仁義も希望も陰りゆく狭い世界を漂う辰巳が危うい復讐心を放出しまくる葵と関わり、そのエネルギーに充てられ、再び人生の糧を見出していく…
本物の顔面に滲む〝人生を賭ける〟説得力を暴力的に、そして情緒的に響かせていく二人の肉体と精神、そこに湧き上がる反応に浸る快感。
超面白かった!

組織の上下関係どころかヤクザとカタギの境界も曖昧な〝隅っこ〟に生きる顔、顔、顔w
そんな殺伐とした世界に唾を吐き、威勢だけは一人前だった葵の表情が復讐に染まる程に穏やかになっていく様子も印象的だったし、シンプルな復讐劇に重みを与える彼女の覚悟が美しかった。
そんな揺らぎと度胸で魅せる森田想がやっぱり強い!

ただ中盤以降やや情緒的過ぎるかな〜と感じたし、葵に重ねたとは言え、命を懸けてまで奉仕する相手を切り替えた辰巳が良い奴過ぎる。
なので、もう少しクズの片鱗が観たかったしwそういう意味では監督の前作『ケンとカズ』から漂う絶望感の方がいくらか好みかも…
とは言え、クソな世界を諦観する遠藤雄弥さんの面構えは最高にカッコ良かったけどね!

と、脇役の存在感やロケーションに至るまでヒリヒリ伝わる熱と魂に圧倒されたし、冒頭から匂い立つ藤原季節の色気と可愛げ。
『ケンとカズ』で初めて彼を観た時も思ったけど、ずっと気になるし目が離せない。
ほんと良い俳優さんやな。