このレビューはネタバレを含みます
なぜベッソンの映画はこうも引き込まれないのだろう?同じ中学生の思いつきのような映画を作るシャマランはそれなりに楽しめるのに。
「足の不自由な自分の代わりに犬を操れれば凄いだろうなあ」という着眼点だけで脚本を書き進めたかのような深みのなさ。非現実を描くのが映画だが、説得力や有無を言わさぬ勢いがあればこそ。コメディならともかく神妙なトーンでワンちゃんホーム・アローンを見せられてもどんどん気持ちが離れていく。
口パクのエディット・ピアフで泣いてしまう信じられないショーパブ支配人が登場するが、これこそがベッソンのスタンスを表している。中身はさほど重要ではなく、見てくれこそが重要なのだ。ある意味ビジネスマンだ。そこがシャマランとの違いなんだろう。
いずれにせよこれだけの要素(身体障害、DV、動物愛護、LGBTQ、貧富格差、ショーマンシップ、神との対話、など)があるにも関わらず何がいいたいのか分からないし、まったくのめり込めない中で「ほらほら面白いでしょ」と言われているような薄ら寒さを覚えた。