原作既読。
最近の杉崎花攻めてるなぁ。ただ「湯を沸かす〜」の時から気になる声質は、持って生まれたものだから変わらないのか？変わらないよね。発声とか鍛えれば多少変わってくるのかな？わからないけど声質が特に叫ばねばならぬ演技の時，ちょっと気になる。
ストーリーは原作にほぼほぼ忠実。どこを切り取っても重いテーマでしかないし、きなこがいとし君を養育していくには日本の法律の中ではハードルが高すぎて現実的にはどうなんだろう？と思うけど、気持ちの面では2人ともに救いのあるエンディングなのでこれはこれとしてよしと思う。
親に大切にされない子…今の時代多いのかな。多いのだろうね。さらに共依存に陥る親子とか子どもを補助金とみなす親とか、他にもいろいろ子育てのハードルが昔よりもずっと高い。これでは若い人が子どもを欲しくないと思っても仕方がないなぁとか思ってしまう。
原作ではあんさんのお母さんの印象が無いのでこれは映画の為？でも流石の余貴美子。理解するのが一歩遅かったけど、お母さんの悔恨は伝わった。倍賞美津子原作よりもずっと短い出演ながらそれなりに。このお婆さんの存在結構原作では私好きなんだけど、尺の関係上カットされてのかな？残念。
杉咲花と志尊淳はそれぞれ渾身の演技…杉咲花が車に飛び込もうとしたシーンの姿形はもうこれ以上できないってくらい追い込まれ感が凄かった。特に見た目がね。ノーメーク，ボサボサ白髪混じりのやつれた風情。頑張りました。志尊淳も見た目を男にする為に生やしたであろう顎髭が妙に似合ってない感が余計あんさんの心情みたいでちょっぴりせつない。
ただ見た目で気になったのは、いとし君，虐待されているのだからクマはすごかったけど，ほっぺたもう少しふくらんでない方が良かったな。
お顔がちょっとぽっちゃりしてて、髪切った後の方がフェイスラインがスッキリしてるのもちょっと違和感。（細かいけどね）でも眼差しとかは文句無し。最近の子役はほんと凄い。
生まれたての子どもはみんな天使。なのに何故成長と共に人は変わっていくのか？ひとえにそれはその子を取り囲む環境。環境が人を作っていくんだよね。それを考えると今時は親ガチャとか言われるけれど、子どもには何の罪もない。生まれた環境で人生が決まってしまわないような助けがこの国にあればと本当に思う。
きなこがあんさんによって救われたように、血の繋がりのない他人に他人を救う力があるのだから、家族と言う垣根を超えて子育ても介護も自然に回るようになれば、救われる人はたくさんいるんだろうなって思う。そんな社会になればいい。
あんさんがきなこを堪らなく好きなシーンがもう少しあれば良かったな。ちょっと一線が強く出過ぎてたような気もする。
それと社長の御曹司、自分が追い詰められると途端に本性表す男。もう少し表情とかに豹変さを出して欲しかった。宮沢氷魚ちょっと弱いわ。もっと悪さを出して暴力ふるって欲しい。
弱さで言ったら、いとし君の母親役の西野さん。憎たらしさは頑張ったけど、男にもっと媚びる見た目にして欲しかったな。ちょっとかわい子ちゃん風すぎ。きなこの友達役小野さん，ちょっとうるさいわ。何もかもセリフも含めてとにかくうるさい。この友達役が1番原作の私のイメージと違ってた。
でも全体的には監督の「八日目の蝉」以降、1番の作品になったと思った。やっぱり原作がしっかりしてる作品は見応えがあります。脚本でぶち壊してないし。
あ、最後の鯨のシーン、迷い鯨と言えども近い。近すぎる。もう少し沖でないと鯨生息できないでしょ。だからあれは幻だと思ったのだけど…倍賞美津子婆さんの言い方だとほんとの事？
幻のの方がいいな。
