いもバター

52ヘルツのクジラたちのいもバターのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.9
誰かの人生を完璧に理解することは絶対にできない。似たような境遇、似たような環境で同じ苦しみや痛みがあっても、一人一人が感じ思うことは違ってくる。誰かが人生で感じたことを理解はできないが、受け止めることはできる。しかし、容易な言葉で受け止めてしまうとそれは相手を傷つけることにつながることもある。人の痛みや苦しみを受け入れて理解しようとするなんて行動は生半可な覚悟じゃできないなと感じさせてくれた。
そして、愛情の正解はなんだろうか。何が正しい愛情で何が間違った愛情なのかは受け止める人次第だし、明確な答えはどこにもないのだと思う。けれど、相手と真摯に向き合うことはできる。誠実になることこそが愛なのかもしれない。

映画序盤では志尊淳さんの演技が微妙だなと思っていたけど、話が進むにつれて全て納得がいった途端に演技力の高さに驚いた。杉咲花さんも演技力が素晴らしかった。自分では感じられない生活の話だったため共感することはできなかったが、人の苦しみや痛みについて考えさせられるいい作品。