とらキチ

アイアンクローのとらキチのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.8
プロレスは人生だ。
“掌全体で相手の顔面を掴む”それだけの技“アイアンクロー”に神性を持たせ成功した父親が、今度は最も護るべき存在であったはずの家族に“呪われた一家”なる“呪縛”をかける。本来は“ギミック”であったはずなのに、それが現実となり一族にのしかかっていく。
過剰なToxic Masculinityは人間性を損なう。父親からの抑圧と母親の信仰心、その狭間で葛藤し、もがき苦しむ中から唯一抜け出すことが出来たのが、誰よりも家族を愛し優しく素朴で純粋な存在だった“長男”のケビンであったところに心が揺さぶられ救われる。
一族が背負わされた“呪縛”が“絆”へと昇華するラストシークエンス、ケビンの流す安堵の涙に、観ているコチラも涙する。
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