叡福寺清子

アイアンクローの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.7
度々申しておるかもしれませんが,私はスポーツがからっきしでして,やるのも観るのも全く興味がございません.ですのでアイアンと言われればアイアンマンかアイアンキングをまず思い浮かべます.そんな私であってもアイアンクローなる技や,フリッツ・フォン・エリックという方は知識として既知の事でしたが,呪われた一族的お話は知りませんでしたし,ましてや五人兄弟(それも全員が男)が,一名を除いて不幸な亡くなり方をされていたとは全く知りませんでした.世の中まだまだ知らない事が沢山ある三遊亭呼延灼です.こんばんわ.

世界戦にやっと手が届いたと思ったら,ついにワールドチャンピオンになったのに,望まぬ道を選んだ挙げ句に意識不明からの復活だけど以前のように楽器を奏でられない.そんな中での死で本人達はどれほど無念だった事でしょう.って同情してたら,あの世で兄弟仲良くやってて,アリャってなっちゃいました.人によっては,自死を肯定するような,ここの描写に引っかかる方(私はそうでした)もいらっしゃるんじゃございませんか.

父親は何事も「兄弟で解決しろ」と助言しましたが,その兄弟がそもそもいねぇんだよと,父親の義務を果たしていないことをツッコんじゃいました.
呪われた家族という呪詛を,父親本人が否定するのは結構ですが,あるものはある,呪われているのは紛れもない事実だったわけです.「親の因果が子に報い」とはいいますが,その因果が何だったのかを作中で語らなかったのは,ちょっと残念でした.あとフリッツさんご自身の死去に関する事柄も描いてほしかったなっと.