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アイアンクローのTaulのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.0
『アイアンクロー』父親のマチズモ、レスラー業、銃と宗教、それらに呪われたともいえる一家だが、乗り越えるのもまた家族愛という、まさにアメリカを描く物語。不幸の連続には感情が引き裂かれそうになる。ショーン・ダーキン監督は作品のトーン作りや掘り下げる部分に迷ってる感じはするが、丁寧さと抑制をもってこの難しい家族の物語を紡いだ。

『アイアンクロー』単なる男らしさの呪縛だけではない驚きの史実だった。救いともいえるシーンは、自死をよく思わせる危険さも抱えてるように思うが、あれがないと辛すぎるかも知れない。カメラ位置が不穏で窮屈に感じるのが多かった。ザック・エフロンの体型がやり過ぎで悲壮感があり合ってた。『マインドハンター』のホルト・マッキャラニーはハマリ役でさらに映画で見たい。

*

意外とそこまではまらなかったのは、史実を何となく知っていたので、そのほうが強すぎて、映画が負けてるような感じがしたからかも知れない。それと悲しみが当たり前すぎると、泣けないというか、心が動かないことがあるのだと思う(でも、このとおりでないこともあって、自分でもよくわからない)。どうもいろいろ真実と映画の間で揺れて考えてしまう。本作はテイストが難しい映画化だったとは思う。
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