Sasada

愚鈍の微笑みのSasadaのネタバレレビュー・内容・結末

愚鈍の微笑み(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

狙ってなのか結果的になのか、監督の言う「会話劇」としての側面はもうはっきりとつまらない。(それが悪いってことじゃなくて、たとえば坂元裕二のドラマとか今泉力哉の映画みたいに気の利いたセリフなど一切ないという意味で)
ウォーキングデッドが終わるとか終わらないとか。携帯見てたから寝れなかった。とか、まさに“愚鈍”な言葉の応酬が続く前半から中盤パート。

でもだからこそ、そんな愚かで笑顔に満ちた時間こそ守られなければならないと気付かされる。戦争がスクリーンに映る時、彼女たちの会話に密かにまぶされた死の予感が浮かび上がる。
毒キノコ、最後の晩餐、完結したウォーキングデッドetc
彼女たちは、もう自分達に明日は無いことを知ったその上で言葉を交わしていたのだということ。

見て見ぬふりをするしかなかったのかもしれないし、自分の命が脅かされる実感がなくて軽視してきただけかもしれない。でもどちらにしたって、彼女たちが死んで良い理由にはならない。

正直前半は観たのを後悔するくらい「?」が浮かぶ映画だから、最後までちゃんと観れる映画館での鑑賞でなければきつい気がする。いま観れて良かった。
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