SaltburnのSasadaのネタバレレビュー・内容・結末

こんな面白い映画がなぜ劇場スルーなのか分からんけど、とても面白かった。

富める者と貧しい者の格差のリアリティというか、匂いや服装や振る舞いに滲み出る「平民と貴族」の痛々しさ。リベラル然としたやつらの面の皮を剥いで溢れるグロテスク。パラサイト的な嫌な感じが研ぎ澄まされていて良かった。
今作はそういう格差をひっくり返す痛快さとスリラー的な凄みもありつつ、そのうえで「いちいち画がバチバチに決まってる愛憎劇」でもあるっていうのがポイント高いっすよね。

愛情というよりは執着で、憎悪というよりは羨望なんだろうけどそこに明確な境界線などないのだなと。バリーコーガンの身体が、声が語りかけてくる。私とあなたを隔てるものがなくなる、そういう関係性の育み方は別に珍しくもない卑近なことだし。

上下を強調するカット、繰り返されるシンメトリー、そして全てを晒す裸体。総合芸術としての映画という感じがして、とても好きでした。