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Saltburnのfujisanのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.7
スクールカースト版「パラサイト 半地下の家族」

女優であり監督脚本もこなすエメラルド・フェネルが「プロミシング・ヤング・ウーマン」の次に撮った映画。今年の映画ですが日本では劇場公開されず、アマプラ会員特典での無料公開となっています(12/22-)

地味な扱いの作品ですが、「ゴーン・ガール」や「パーフェクト・ケア」などで怪演を見せていたロザムンド・パイクや、チョイ役ですがキャリー・マリガンも出演、また、「聖なる鹿殺し」や「イニシェリン島の精霊」の役が話題になったバリー・コーガン(キオーガン)が主演という、大作感がある映画。

Filmarksをはじめ海外での評価も高い作品でしたが、テーマが地味で胸糞系なのとR18+というレーティングで劇場公開は難しかったのかもしれません。



内容はかなり個性的で、コメディ要素がある前半から、後半はジャンルが変化するほどのサスペンス映画。

学業優秀でオックスフォード大学に入学しながらも派手な生徒たちの交流に馴染めず、スクールカーストの最下層に位置してしまったオリヴァー(バリー・コーガン)が、ふとしたきっかけで貴族階級のフィリックスと仲良くなり、ある夏、イギリス北部のソルトバーンにある彼の大邸宅に招かれるのだが、という話。

個性的な実力派俳優で熱狂的なファンもいるバリー・コーガンによる、時にエロティックな体を張った演技が素晴らしく、彼の生き抜く生命力の強さに惹き込まれる映画でした。

イギリス人監督による非アメリカ系俳優を多く起用したイギリス映画であることも特徴で、今も残る貴族と格差の問題や、アメリカ映画と比べ、イギリス系特有の若干陰湿な雰囲気があったのも個人的には好きな雰囲気でした。

これは偶然かどうか分かりませんが、バリー・コーガンはとある理由で終盤ずっと鹿の角を付けており、これは神話をモチーフにした「聖なる鹿殺し」での鹿のメタファーと同じなの?など、色々考える事もできそうですが、
これはもう、ネタバレ厳禁の映画だと思うので、あまり情報を入れず、ご覧になることをオススメします。

エンディングは結構衝撃的です。




2023年 Mark!した映画:363本
うち、4以上を付けたのは41本 → プロフィールに書きました
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