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熱のあとにのJPのレビュー・感想・評価

熱のあとに(2023年製作の映画)
3.7
な…何なんだこれは…!?予告で見た以上に尖りまくった映画!
面白かったけど、わからない。眠くなったけど、つまらなくはない。撮り方がすごく工夫されていて、眠くなる映画の授業受けたのを思い出したりした。
登場人物たちの動機や行動原理が100%理解できたとは到底思えないが、いくつもの印象的すぎる「映画的描写」を並べて整理すればきっと紐解けるんだろうな…ちょっと僕には太刀打ちできなかったけど。でも面白い!
(以下ネタバレあり)



▼舌を巻いたカット
・冒頭のスプリンクラーから、一転して噴水に繋ぐ6年後のカット。
・冒頭の血まみれの手、赤いタバコの火、6年後の赤いロブスター。小泉の後輩が編んでいる赤いマフラー、彼女が持ってくる赤いリンゴ…それが赤く血に染まる包丁に一周してかえってくる。殺人の予感が「赤色」で紡がれ、漂い続ける。ひえー!
・急に水辺に知らん中学生男子と女子出てきて、「私が死んだら遺骨を海に撒いてほしい」とか言い出したら、誰も乗っていない(転覆した?)ボートがごつん…とゆっくり漂着する。木竜麻生…死んだ…ってことであってる…??!ひえー!笑

▼木竜麻生が怖い!
橋本愛が、猟銃を持った木竜麻生と草むらに入っていくシークエンスは、もはやホラー。「撃ってみる?」って橋本愛を殺傷行為に促すのも怖いし、猪出てくるのか…?と思ってドキドキしてたらクソデカい音で鳥が羽ばたくのも怖いし、それ容赦無く撃ち殺す木竜麻生も怖いし、橋本愛が逃げて振り返ったら猟銃持って突っ立ってるのも怖い。電話しながらカバン蹴ってるのも怖い。
「福田村事件」の時と同じ人のはずなのに、同じ人には見えない。怖い。

▼世界を60秒止める。日本映画史に残るラストシーン。
え…60秒って…え、今見つめ合うのー?!笑
って感じでもはや笑ってしまったが、「会話はもはや必要ない」というこの映画の極論をこんな形でラストに持ってこられるとは…
この映画全体を通して、「会話」劇が面白い一方で、言語化できない「映画的描写」がバキバキに光ってる場面も多い。「言語はもはや必要ではなく、それよりも大切なものもある」と言われているような気もした。
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