紅梅シュプレヒコール

雪山の絆の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.3
45人を乗せたウルグアイ航空機がアンデスの雪山に墜落。絶望が首を締める中で、希望を胸に身を寄せ合いながら奮闘する姿を描いた同名小説をフアン・アントニオ・バヨナが映像化

1972年に実際に起きた事件を基に練られた物語となっており、あまりの壮絶さに胸を苦しめ続けられる作品でありながらも同時に希望も感じ取ることができる傑作です

日常から非日常へと転換するまでが早く、冒頭から僅か10分ほど経ったあたりには舞台は雪山へと移る

そのため登場人物の詳細な描写がなく、鑑賞中誰が誰なのか分からなくなってしまうという弊害はありましたが、可能な時間内で効果的に物語を描くため焦点を絞らざるをえなかったのであろう意図が汲めるので不満点にはならなかったです(と言っても、日本人には馴染みのない名前であることも加わり人物把握は結構厳しいです)

今作はヌマという青年を中心軸に据えて惨事の顛末を描いていきます

碌な物資も無く、孤立無援の雪山で何十日もの間どのようにして生き残ったのかが圧巻の映像と鬼気迫るキャスト陣の演技によって説得力を持って描かれていく

絶望的な状況下においても生への執着を切らさず、待つ人のもとへと帰るために前進する各々の姿は感動的なものになっています

かなり観るのに気疲れしますが、十分観る価値のある作品になっているので是非とも観ていただきたい(最近の災害や事故で精神が磨耗している方は気をつけてください)