肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

雪山の絆の肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.6
皆(みな)の"血肉になる"という意義と意味を考えさせ生存者のみが「勝者」という短絡的では済まない構成と視点を与えてくれる傑作
1970年代の40人を収容の18〜40歳までの大学ラグビー部員と家族その他の若年のみの中型ジェットがアンデス山脈での墜落で中途でポッキリ折れたコックピットがせめてもの命綱の中、救助を待つのみなのか?地獄が始まるーー

キリスト教信仰下地の"倫理観"など意味を成さない聖書の試練のような葛藤の先にある極限の二ヶ月超(70日超)の"絶望"を共有したワンチーム

ええ、撮影手法があまりにも気になり過ぎるので本編鑑賞後ぶっ続けで30分強のメイキング・ドキュメンタリー『雪山の絆:僕らは何者だったのか』をぶっ続けで見ましたよw
疑ってはいませんが、標高4000mのアンデス山はちゃんと大標高雪山で撮っていましたよw(撮影は3000m超のシエラネバダ山脈)
そんで撮影初日に監督・俳優全員が新型コロナ感染&監督のみ遠方ブースで指示出し代役リハーサルで行ったという、いざ滑り出しで近年映画なりの苦難続きで完成させたということ。映画内のように死者が出なくて、概ね配信形態で評価も最大限ついてくる映画となったのは本当に僥倖と言えましょう。"奇跡"ではなくてね?😉(これはレビューの伏線よ)

というか、この別に個人として★4を超えるような大評価する気は毛頭なかったんですよ。それは、なんとなく観たいなぁと思っていた劇場公開時期を逃してしまったから…なーんては言いませんがw
それもあり配信視聴も優先度がグダグダで年も跨ぎましたが、個人としては「ディザスター系」や「偶発事故サバイバル・スリラー」みたいなのあまり好きではないからなんですよ。
いや観てる時は映画好きなので楽しみはするんですけど、"ジャンル映画"としてみんな"似た構成・展開"で命の危機に遭い、近親者らが死ぬ事が決まり切ってるのでそれに感動しろというのも舌が肥える程に難しくはなります…

でもこの映画、その定型・テンプレートを乗り越えて鑑賞感として"特別"なものを与えてくれたのは、"語り手・主人公の選択"、事件顛末後の『その(直)後』やそこに行き着くまでの彼ら(墜落被害者ら)の印象的な"会話"がいくつもあったから。

未見ではありますが、似た、といえば語弊がありますが"集団サバイバル"のジャンルとして、AMAZONオリジナルのタイ洞窟の少年団体の救出劇『13人の命』も相当評価が高いですが、それとも一線を画す""生きる""事に対して切実に極限を共有した事を描いてはいるのではないでしょうか…

主人公で語り部であるヌマ役エンゾ・ヴォグリンシクさんが墜落仲間の中でとびっきりの男前なんですよw
ジェームズ・フランコの若手時やアダム・ドライバーを足して2で割った感じといえば、どれだけ印象的かわかるはずです(笑)
彼が一番信仰心が厚く、最後まで"倫理観"に葛藤し"高潔"であろうと努力しもがいた人物で、意外な顛末を迎えながらも納得の人選だったと前日譚やストーリーラインで思わせてくれるんですよね。彼は自身で"それでも生きようとする仲間のため"の「選択」をする。
そうでなきゃ、シビアでセンシティブな事をやっていかなきゃ"生き残れない"し、"共感しにくい"という人選もあったのでしょう…

そしてこの映画は、ネタバレというか"結果がわかっている有名な「実話」"なので概ね話てもなにも問題ないはずですが、個人はこの事件を聞いたような聞いてないようなであらすじ・予告情報を仕入れないまっさらな状態でいつものように観ましたがw
最終的に"助かったぞ!家族と再会できたぞ!実際はこうだったぞ!"実話ベース映画でよくある数値等のテロップで終わらす…"だけではない"実感を与えてくれるのです。そこで評価は跳ね上がる。

まず一人の生存者が家族との再会で
「奇跡よ!!」「奇跡?奇跡ってなに?」
と返す。
ここは、ただの生還したという実感に疎い戸惑いの返答と捉える事が可能ですが、あまりにもの倫理観を超えた人外の生存戦争を行った事に対する「PTSD」(トラウマ)と捉える事ができる。
でもそうじゃない。
この映画は生存者たちの"後日譚"を描くから丁寧"なのではなく"、一緒に生還できなくて散っていき、"消費"される「共同体」を最後まで想っての発言や体感を描き切っていることに、生き残った人たちが「個」という境界が曖昧になっていることに気づくんです。
それは、オールキャストが"ほぼ無名俳優"から選出したことによる実りでもあるのでしょう。
この感じは、ディザスター&サバイバル映画としても"一線を画す"鑑賞感ではないでしょうか?

前日譚として、ラグビーチームの面々が日曜礼拝に通っているシーンも描かれ、生活にはそういう"信仰観"が行き届いてるのも示されますが、墜落断崖雪面(山)生活で
「俺が信仰する神はお前のと違う」
という件があります。
「それは、雪崩生き埋めを救ってくれた人、食料の生肉を捌いてくれた人、皆の為に動いてくれたそれぞれの人の手に"神は宿る"」
という"宗教観"や"倫理観"を超えたところにある"人智を超えた「一体感」"に「奇跡」という言葉なんかじゃ言い表せない感動が当事者だけに宿るのでしょう😉