のんchan

忘れられし愛ののんchanのレビュー・感想・評価

忘れられし愛(2023年製作の映画)
4.3
ポーランド映画はなにか気に掛かってしまう。
引力のように観始めたけど直ぐに惹き込まれた、凄く好みだった。


有能な外科医ラファウ・ヴィチューラは医者の鑑のような人間で、貧しい人々にも手を差し伸べ、惜しげなく時間と労力を捧げていた。しかし、妻が愛娘マリシアを連れ愛人の元へ去ってしまう。
悲しみに打ちひしがれ、妻の居場所を探している時、強盗に遭い、その時の怪我で記憶喪失となってしまう。
 
その15年後に時が流れる。名前も忘れてしまったラフィアはアントニ・コシバとして何かを求めながら放浪の旅をしていたが、その何かさえ分からない虚しい男になっていた。
ある村で夫に先立たれ製粉所をしているゾフィアと出会い惚れられる。アントニはなぜか医療技術は覚えているので、その場所で病人を無償で診ながら暮らしていた。

大学進学を希望しているマリシアは両親を亡くし、あるパブで仕事をしながら学費を貯めることにする。店に寄った伯爵の息子がその美貌に一目惚れし、2人は身分違いの恋を誓うが、バイク事故で離れ離れになってしまう。
頭に大怪我を負ったマリシアに何か引き寄せられるようなものを感じるアントニ。有り合わせで開頭手術を行なって命拾いする。
2人が親子なんて夢にも思わずに...

波瀾万丈な人生を送る男と、母親を亡くし実の父親を覚えていない孤独な女が巡り巡って出会うまで。

全体的に衣装が良かった。
マリシアのワンピースがどれも可愛いし、昔の白衣や布の手術用マスク等、徹底した小物の扱いも気配りを感じた。

全キャストがポーランド人で構成され、しっかりとした演技は舞台で培われた実力や、監督や演劇芸術の教授をしている俳優もいて、どの俳優も自然な演技が本当に素晴らしい。


主人公のレシェク・リホタは、哀愁感ある知的な表情で深みがあって素敵でした。
ワルシャワの国立演劇アカデミーを卒業後、ポズナンのポーランド劇場で舞台俳優としての活動している。

娘役のマリア・コヴァルスカは今作で長編デビュー。美しくスタイルも良いし、今後の活躍に期待したいです。
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