マーくんパパ

靴みがきのマーくんパパのレビュー・感想・評価

靴みがき(1946年製作の映画)
3.4
長らく観たかった作品の一つだった、デ・シーカのイタリア戦後ネオリアリズムの佳作。しかし思ったよりは期待ハズレでした。あまりにも不快な後味の悪さ、同じやるせない結末でも『自転車泥棒』の方がまだ遥かに救われる。孤児のパスクァーレと貧しい家族がいるジュゼッペの仲良し2人、靴みがきしながら貯めたお金で憧れの白い馬を買うことにする。ちょっと足りない分を補おうとジュゼッペの兄に持ちかけられた密売品販売詐欺の片棒を担いだため2人とも逮捕抑留される。貧しいながら戦後の混乱市井の中で逞しく生きている2人の出だしの描写はすこぶるいい。その後の捕らえられた房舎の中で2人は隔てられ、大人や仲間の悪意ですれ違いや勘違いの敵意を抱くようになり悲惨な結末となっていく下りが共感呼びにくい展開。冒頭、2人を乗せた馬が疾走するシーンとラストの愛馬が2人を残して何処かへ歩き去るシーンの対比と無心に進駐軍の靴みがきしてるシーンが心に焼き付いた映画でした。