Yutaka

アメリカン・フィクションのYutakaのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
『アトランタ』のような角度から、黒人のポップカルチャーとその消費構造を風刺した抜群にシニカルな快作。一般化して擁護する事に潜む無邪気な加害性や、正義を振りかざす名前のない私刑執行人が横行する社会、そしてそこに国家の歴史として存在する人種問題がもう1個乗っかってくるアメリカ社会で生活するうえでの正しい感覚を提示している。
数年前までは一つの波としてブラックカルチャーがBLMと共に映画界や音楽界を席巻した。そこには確かにリアリズムがあり、主観的な社会への糾弾があった一方で、それを免罪符的に賞賛する白人社会という構図もあった。そして2024年、その分かりやすい消費構造から抜け出す為の処方箋となりうる映画が現れた。
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