Yutaka

Girl/ガールのYutakaのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.1
本作の監督ルーカス・ドンはグザヴィエ・ドランと比較されているらしいけど、これを見たらその意味がよく分かった。マイノリティの孤独と瓦解する感情の描き方はドランよりは控えめでアプローチは異なるけど、ポストロック的な解釈でこちらも上手い。また、彼/彼女たちを支える周囲の人間の想いにも視野を拡げる辺りもドランっぽい。
そして、本作の最も凄い所はトランスジェンダーの自身の身体に対する拒絶感をハッキリと描いている所で、執拗にララの裸体を撮る事で彼女が抱く心と身体の乖離による苦しみが痛く伝わってくる。着替えやシャワー、全ての所作に嘔吐的な苦悩を感じ取ることが出来る。その上でのラストはとても痛々しいけど、救われた気持ちにもなるし、ここで我々が抱くアンビバレンスな感情こそが彼女が人生を通して抱いてきたものだと言うこと。
この映画を見ることで、当事者では無くても絶対に少しは理解が深まるから見た方がいい。
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