yoshi44

アメリカン・フィクションのyoshi44のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
文学作品を書きたい売れない黒人作家が、ドラッグ・暴力・家父長制・ムショ上がりという“世間が求める黒人もの”をヤケクソで書いたら大ヒットしちゃうというコメディ。

これは最高に面白い。
黒人の意見を無視しながら、「黒人の声を聞かなければ」と推し進める白人社会を痛烈に皮肉って、多様性の名の下にある欺瞞を炙り出す。
自己満足と“やってる風”の権力者たちは、社会の縮図でもある。

ジェフリー・ライトが最高の演技を魅せる。
ワルの喋り方と、小説の二番目の題名は本当に草w。それを受け入れる出版社もアホくさくてもう最高に最低。
家族の確執を丁寧に描きつつ、何気に多重構造で飽きさせない快作。

どちらかと言うと『This is us』のスターリング・K・ブラウンの方が弟だと思うんだけど、字幕では“兄さん”となっていた。原語版で言及されているんだろうか?
他にも諸々、Amazonプライムの字幕はいい加減ちゃんとして欲しい。

本作の面白さを知れば今年のオスカーにノミネートされたことには納得だけれど、穿った見方をすればそれこそが、「黒人主演作品で人種差別を皮肉った作品だからこれぞ多様性!ノミネートしよ」という、本作が問題視している欺瞞でそのものでもあって…。
実際の方がフィクションのような現実。
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