美しい自然環境の中人々の思惑が交錯し、濱口竜介監督らしい魅力的な会話劇が続く。
風景描写にはたっぷりと余白を残していて、その間に物語では語られることのない登場人物の生い立ちやその心情を想像し、物語の行末を見守る。
ここ面白いカメラワークだ、皆一概に悪い奴とは言えないなぁ、薪割りうまっ、こーゆー奴いるよね笑etc
そうしているうちにあっという間に時間が過ぎる不思議な映画、なのだが………。
クライマックスに突如ぶち込まれる不条理。
え？え！？
と思っているうちに、あらゆる思惑の一切を問答無用で置き去りにして、爆速で終了するエンドロール。
…とんでもない作品。
前作『ドライブ・マイ・カー』がオスカー受賞、作品賞にもノミネートされるという前代未聞の実績を残し、黒澤明以来、今日本で最も注目されるべき濱口竜介監督。
なのに本作は、都内の公開劇場が2館のみ。出演者もほぼ無名か素人同然のキャスティングという事実。
“大資本の言いなりにはならず、作りたいものを作る”というクリエイターの真髄をここに見た。
あの展開はなぜ？あの人物の生死は？
いや、そもそもあれは本当に起こったことなの？
たくさんの考察の可能性を残したエンディングは、映画鑑賞の醍醐味。
本作のおかげで初めて来訪したシモキタエキマエシネマK2は、とっても綺麗で魅力的な映画館でした。
