貧困や差別に負けず尊厳を守る！
と白人に受ける黒人の物語で彼らの声に耳を傾けたつもりでいる…
そんな先入観に囚われた理解を嫌悪し、もっと多面的に。を主張する作家が真実と偽りの狭間で新たな視点に辿り着く様子を皮肉な笑いで描いた特濃ブラックな物語。
黒人の作家全てが人種に関するテーマを扱うわけではない。けれど認知症を患う母のため大衆に迎合した本も書かなくてはならない…と、ある奇策によりジレンマに陥るモンク。
固定観念を嘲笑しながらも家族や恋人との関係により揺らぐ自意識。そんな誰もが陥る偏りを見つめる洞察に富んだ物語に釘付け。
まあ皮肉が効き過ぎで短絡的に思える部分もあるけど.そんな攻撃的な笑いにも関わらず、慎重な会話で気付きへと導く展開も良い。
疎遠だった家族との時間の中で知性だけではコントロールできなかった感情と向き合うモンク、ずっと難しい表情を浮かべるＪ◦ライトの繊細な変化で魅せる演技も印象的でした。
〝生々しい〟とか〝緊迫感がある〟とか自分もちょこちょこ感想で使う言葉に主人公がウンザリする場面があったけどw物語をどう消費するかについての答えも気の利いたもので、笑いながら胸に響いてきた。
あとヤンチャなのに穏やかで可愛いとこもある兄ちゃんがこの物語の核心な気さえしてw好き過ぎた！
