つかれぐま

アメリ デジタルリマスター版のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.5
23/11/20@イオン多摩❺

【幸せになる】

その資格があるアメリ。
彼女が幸せになるこの話は、観る者も幸せにしてくれる。私達にもその資格があれば。

観終わって幸せな気分に浸れる映画だ。それは前半の1時間かけて、アメリという不思議ちゃんが「幸せになる資格」がある女性ということを楽しく(聖女ではなく小悪魔のように)それでいてきちんと描いてくれるからだろう。フワフワしているようで実は地に足がついている作りだから、みんなアメリが好きになる。

ニノ君との距離の詰め方が、じれったいが面白く後半の見所だ。インスタント写真を撮り続ける謎の男という秘密を二人は共有する。この「秘密の共有」こそが、実は男女の距離を縮める近道であり、臆病な二人にはこれ以上ないお膳立てになっていた。そしてその謎が解けた時、これまでネガティブにしか世界を捉えられなかった二人が「なんだ、思っていたほど世界は悪くないな」と共鳴する。リモートで恋が成就する楽しさ。

いつもガラス越しに見ていた「金魚鉢」ライフとお別れするアメリ。最後は自分で扉を内側に開ける。自分からではなく「受け入れる」のが、アメリらしい選択だった。