江戸時代、世界初の全身麻酔を使った手術に成功した華岡青洲の妻の物語。
ですが、これは嫁姑問題に焦点を当てた原作を元にしたフィクション。
姑(高峰秀子)の美しさと、その裏にある恐ろしさには、世の嫁たちを震撼させる凄味のレベルが段違いです。
華岡青洲(市川雷蔵)は、京都に修行に行ってるため家には不在。
しかも妻(若尾文子)が嫁いで3年後くらいに帰ってくる。
それまでは自分の娘同然に優しかったお姑さんが、息子の帰還で豹変。
あからさまに態度が変わる。
しかも高度な嫌がらせなので、ちょっとやそっとでは太刀打ち出来ません。
しかし妻は武家の娘ですので、根性がすわってます。
家の中心である青洲のために、2人して全身麻酔の実験台をかって出るわけですが、この命を懸けた意地の張り合いが、もはやホラー。
そしてそれを良しとしてしまう夫もホラー。
病に倒れた青洲の妹は、そんな家族の姿を見ていたことで死に間際に放つ言葉は重たく響きます。
作品の中では猫に対しての実験描写もあり、こういうのが苦手な方はおすすめしません…
でもこれも事実の側面。
先人たちの絶え間ない努力や研究心、それから大きな犠牲ありきで医療は支えられてきたことを忘れてはいけないと感じました。