大好きなヴィシャール・バーラドワージ監督の久しぶりの日本語字幕付き配信、ということで楽しみにしていましたが、体力イマイチだったのでタラタラみて、わからないところがあったので再度みました。
これは主演のRAWの捜査官役のタブーさんとバングラデシュ人の彼女への協力者を演じる女優さんの存在感が圧巻でひたすら眼福でした。アリー・ファザルくんも役によくハマってました。脚本なしでその場でセリフを渡すよな演出だったそうですが、こういう話ならその方が確かにリアリティーは出ますね。
”モグラ”の妻役のワーミカー・ガッビーは、アマプラの初期のインド映画を扱ったシリーズに続き二度目ですが、まあ、普通かな。この女優さん、踊りは上手いし、演技もそこそこですが、特に売りってあるんかしらん?
ハイジャックの首謀者と見なされているバングラデシュ国防相をめぐる事件で、RAW(インド)対ISI(パキスタン)ではなく、ISIは背景で別の大国がお相手。
2000年代初めのスパイ戦ということですが、アリー・ファザルさん演じる夫がなんで国を裏切ったかイマイチ不明。これに限らず、登場人物、全てキャラはたっていて、こういう人だったらそういう判断はありかも、というリアリティーはあるんですが、行動自体は普通のファミリードラマっぽいんですよね。ですので、なんかタラタラしているように感じる。
それだけに日常生活に入ってくる危険さがより残酷に感じるという効果はありますが・・・
いわばスパイ映画ファミリー編みたいな感じ?
映画として作ってあって、最初は「おおっ!」と唸るようなクオリティーで始まり、映画として終わってはいるのですが、時間的にはドラマシリーズか連作にして出てくる二つの家族のその後を見せて欲しいですね。
アリーとワーミカーについては親の代のこともちょっと知りたい感じ。つーか、この家族、すごく仲が良さそうなのに、政治的信条、それぞれ違いすぎでしょう。
音楽監督出身の監督だけあって、挿入歌のラブソングが効果的に使われていました。派手なミュージカルシーンは姑が信奉しているグルのコンサートがメイン、というのがめずらしかった。
この監督、超一流ですが、残念ながらNetflixで日本語字幕が付いている作品はイマイチ。この作品はNetflixオリジナルの宿命でこの監督としては中の中いくかな?くらいの出来。『ラングーン』はテーマ負け、役者負けでしたね。
同じくNetflix配信で英語字幕の付いている”Haider"と”Kaminey"は第1級の出来ですので、この監督のカラーを知りたい方はぜひごらんあれ。
どちらも、アマプラで配信中でインド映画ファン以外からも評価が高い連続ドラマ『フェイク』の主演俳優、シャーヒド・カプールの主演。
シャーヒドはボリウッドのトップスターのうち収入はベスト10に入ったり入らなかったりですが、主演級では演技力は多分トップに近いと思いますので、彼を眺めるだけでも楽しいかも。
”Kaminey"は全く性格のちがう双子の兄弟を演じ分けていますが、ちゃんと違って見えるので不思議です。インド映画は一人二役が多いのでこれが演じ分けられるかどうかでスター俳優の演技力はだいたい分かりますね。
上手いーリティック・ローシャン/シャーヒド・カプール
ふつうーシャー・ルク/ディーピカー/ラーム・チャラン
かったるいープラバース/ランビール・カプール
個人的にはプラバースくんとランビールはちょっとかったるい、自分を演じてるタイプのスターだと思ってます。その辺がスターのスターたる所以でもあるんだけれど・・・
演技上手いのに地味に見えないリティックはほんと〜にすごいと思う。