「田辺・弁慶映画祭」でグランプリと観客賞、俳優賞を獲った本作。「アップリンク吉祥寺」で行われたイベント付きの上映を鑑賞してきました。
主婦の一葉(瑚海みどり)は子供を望む夫の大地(二階堂智)の願望を叶えたいと思うも、流産や生理が来ないこと、自身のアスペルガー傾向に葛藤する。夫婦の溝は深まっていくが・・
冒頭からテンポのよい編集に笑いを交えながら、一葉のアスペルガー傾向の特徴を手持ちカメラで捉え臨場感を出している。
中盤の「オレオレ詐欺」や、「里親制度」に対しても一途に真剣に向き合う一葉の姿が痛々しく愛おしくもあり、物語を盛り上げてくれる。
そして、一葉の一人突っ走っていく行動が、夫の大地にもストレスを与える様も、良い話だけで終わらせず、全体にバランスをもたらしている。
初長編作品とは思えない瑚礁監督のお涙頂戴にしない脚本、重くさせない演出、個性的な衣装、テンポのよい編集は素晴らしかったし、主役二人の息の合った演技も良かった。
本作も一人でも多くの人に観てもらいたい素敵な作品です。