真田ピロシキ

あんのことの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
2.5
河合優実って売れてからどんどん出演作がヘボくなってない?

悪趣味な話です。事実に基づいたと言ってもそれはそのまま本当のことを再現してるわけではないし、演出として創作も付け加えられる。この映画に置ける事実に基づくはそれっぽい深刻さを醸し出すための仕掛けでしかない。キングダムだって史実を下敷きにしてるのだからそれと同種類と言えるけれど、1人で戦場を無双していくのを事実なんて思わないでしょ?でも始皇帝のような実在の有名人がガンガン出る話と全くの空想ファンタジーでは前者の方がそれっぽさは自然と出やすい。

一気に話についていけなくなったのは突然子供を押し付けられてから。あまりに流れをぶった斬っててこれはウソだろと思ったらやはり完全創作な模様。クソ母親にシェルターの場所を突き止められるのも何の説明もなくご都合主義だけの脚本。感じるのは何が何でも主人公を不幸にしてやろうという悪意。でも事実だからと言い訳をしておけばあーらびっくり何か社会派ドラマのように装えますよ。そもそも母親に虐待されてた若い娘を擬似母親にして幸福を感じさせようというのが女の幸せは母親になることみたいな思想を感じられてならない。自民党かよ。

更に酷いのは佐藤二郎が薬物中毒者の支援をしながら裏では利用者女性を食い物にしてたことで、これはそういう出来事に基づいているようだが、慈善活動家が実は悪党だったって自分は何もしないくせに難癖つけてやってる人を妨害するのだけは熱心な腐れネット民の好むストーリーでございますな!顔も名前も出さず都知事選に出てたクソオタク野郎とかな。こういう表現をさも本当ぶって今やることの意味が分からんの?所詮男性監督の映画。こんなもん作ったらいかんよ。

それでも最初辺りの貧困描写は団地の荒廃ぶりや生活保護課の塩対応、それに対する佐藤二郎の啖呵など良かった。ブルーインパルスを虚しく飛ばすのも風刺はできてる。幸薄い河合優実の表現力は今回も大発揮。もっと良い作品に出てくれないかな。『サマーフィルムにのって』や『PLAN75』、『由宇子の天秤』の頃の方がずっと良かったよ。今はクドカンのバックラッシュドラマとか泣ける。