真田ピロシキ

はだしのゲン2の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

はだしのゲン2(1986年製作の映画)
3.5
原作はもとより前作に比べてもパワーダウンは否めない。原作に忠実である必要はないが削ってはいけないものはあるはず。例えばヤクザに鉄砲玉として隆太たちが使われていたり、天皇や調子のいい大人をボロクソに罵るようなことはなくお母ちゃんが死んでしまったが麦のように踏まれても強く生きていく未来を予知させ物語は終わる。道徳の教材として使えるアニメであり、儀礼のような戦争映画となっている。全く意味がないとまでは思わないが、これじゃ全然足りない。前作はその手の趣味のある人を満足させる弊害もあるような凄惨な描写があったし、何より原作は純粋に漫画としてパワフルな活気に満ちていた。隆太が終盤でムスビの敵討ちでヤクザを撃ち殺すとこなんて不謹慎だが痺れた。それでも子供が危険を犯して盗みをせざるを得なくて、死体が尊厳なく処理される惨さは描かれているので、片隅にみたいな全体主義ゆるふわ戦争アニメが評価される今よりはずっと良い。今じゃこれですら日本人様は見たく聞きたくないんだろ?歴史修正国家。