みむさん

コンセント/同意のみむさんのレビュー・感想・評価

コンセント/同意(2023年製作の映画)
3.8
フランス映画祭にて。

文学少女が50歳の有名作家に出会いその毒牙にかかる過程とその後を描いているので観ていてかなりキツい。
気持ち悪すぎる。
類似事件や告発は日本でも他国でもあるし、他人事とは思えない。
作家性の暴走を容認する業界や、少女の母親の対応などについて考えてしまう。

ヴァネッサ・スプリンゴラの実体験を元にした本人著の同名小説が元になっている。よくぞ勇気を振り絞って書籍化したと思う。
監督によると、原作者の承諾のもとに脚色は入れているが「できるだけ忠実に映画化」したようだ。

同意という概念がまだわからず、大人に愛されること憧れの人に特別な扱いを受けること、ヴァネッサ本人はそれを恋愛と思っていたんだろう。だけど…。

周囲の大人はこの状況を知って何をやっていたのか。ヴァネッサの母親にも批判があったらしい。

搾取側の有名作家ガブリエルを演じたのがジャン=ポール・ルーヴ、こんなに気持ち悪い役やってたなんてちょっと驚いた。ヴァネッサを見る目が気持ち悪すぎ。獲物を狙う目とよく言うけれど、それとも少し違う、目が座ったままのあの表情。

女性になる前の少女を搾取し、条件に合わなくなると捨てる。それが明らかになっても芸術を楯に正当化、権力のサポートをちらつかせ、反省などするわけなく飄々と生活している姿は不快以外の何者でもなかった。

こういう捕食者犯罪者を擁護し野放しにしてきた者がいると思うと吐き気がする。

被害を受けた側がやっと声をあげても失った少女時代は戻らないし、あの記憶を消し去ることは難しい。
別の事件で「なんで今さら声をあげるのか」などと言っていた人がいたが、声を上げることがどれだけ勇気が必要か本作で少しはわかるのではないか。