このレビューはネタバレを含みます
邦題や宣伝のイメージもあり、対峙や葛藤、なんなら復讐の宴を期待してしまった。監督のインタビューでは「赦し」がテーマとのこと。本編で聖書が引用されていたが、確かに聖書では驚くような赦しがあり、それをさらっと実現した寓話のようにも思える。ただ宗教の勧誘で奇跡の話をされたみたいで、美味しい料理にくるまれても、あまりに唐突だし雑な提示で呑み込みにくい。固定観念を覆す趣向は分かるが、どうも気味の悪さが残った。フィリピンでは最後がハッピーエンドではない別のバージョンで公開されたということを知った。ラストは二通り作ってみるタイプでもいい映画は多いが、こういう空気感の積み上げが大事な作品では矛盾を感じるし、解釈がどうにでもなるような演出すぎる感じは否めない。