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帰ってきた あぶない刑事のBATIのレビュー・感想・評価

帰ってきた あぶない刑事(2024年製作の映画)
4.0
楽しかった。もうそれだけで良いのではないでしょうか。土屋太鳳がとても良かった。三人で外で食事するシーン。「二人は愛し合っているの?」へのアンサーとそのあとの音楽に合わせて踊る大下、それを観て微笑む鷹山に何故かうるっとしてしまった。過去作みたいな派手さはないけど、全然これでいい。キャラと過去シリーズへのリスペクトがある。薫が「オバサン」と呼ばれることにはイラッとしそあになるけどタカとユージが呼ぶのではないので、まぁある種の節度はあるかな(観てもらえばわかる)。

あと、コンプライアンスと呼ばれるような、際どい台詞はほぼない。タカとユージが同じ女性と関係を持ったことが描かれるもそれをネタにはしなかったり配慮もされている。ノイズが少ないから観た人間の満足度も高いと思う。柴田恭兵の長距離ランがないし、逆に走っているのが辛くて土屋太鳳に抜かされる。タカとユージの老いを描いている。ボス級の相手と近接格闘では歯が立たなくなっている。「俺たちまだまだ調子に乗っちゃいます」になっていないのも良かった。

男同士のバディ、関係性ってトキシックなものになりがちだったけど、「帰ってきたあぶない刑事」の鷹山と大下には「お前に生きていて欲しい」という慈しみがある。昨年の「仕掛人・藤枝梅安」もそうだったけど、少しずつ「男ふたり」の描き方が変わってきているのではないだろうか。

最も良かったことの一つは、鷹山も大下も同じ女性と関係を持ったことをお互い知っても「お前、俺の女と寝たのか!」とか、私の大っ嫌いな言葉だけど「俺たち穴兄弟だな。」とかの下劣な台詞が一切なかったこと。事実を知ってお互いが「すまなかった」と思ってるのもよい。本当に台詞は考えられたものになっていた。若い女への嫌らしい目線もなかった。
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