BATI

マッドマックス:フュリオサのBATIのレビュー・感想・評価

3.4
カーアクションシーンは今回オートバイたっくさん出てきてなおかつ薙ぎ払われまくっていて、初代と「2」のフィーリングをMMFRよりも強く感じさせてそこについてはとても満足した。冒頭が一番良かったかもしれない。あのお母さん演じてたチャーリー・フレイザーすっごくいい。あの目。で、アニャ・テイラー=ジョイも目の人だし、目で物いわすところがすばらしかった。子供時代のフュリオサやっていたアリーラ・ブラウンはアニャよりもシャーリーズ・セロンを彷彿とさせた。やっぱり目の力が強い。この過酷な世界を睨みつけてきたフユリオサの話にぴったりだった。でも物語や前作との整合性については観る前からの懸念だった「ある程度何が起きるか予測できる」と「二次創作性」に絡め取られていて、前作がエモーションの作品だったのに対して、「フュリオサのあの時の画を撮りたい」が先行してた映画だった。そういうところもスターウォーズのプリクエルと一緒。やっぱり前日譚難しいねぇ...。作ってるジョージ・ミラーはエモーション高まっているけど作品はエモーショナルになっていない。それくらいアクション以外のトリートメントが散漫だった。

ジョージ・ミラーならファンムービー的なサービスシーンやらんでしょと観る前は思ってたけど結構やっててごめんそこはガッカリした。おまけに今回はイモータン・ジョーとフュリオサとのバチバチの感情の導線が描かれていなければならないんだけど、それよりもクリス・ヘムズワース演じるディメンタスとの関係性の方にウェイトがいっていて、それなのにその愛憎はちゃんとは描かれない。あとヒュー・キース・バーンという強烈すぎる俳優がいないことでその偉大と喪失を感じてしまう。イモータンにはあの目力とオーラがないし、なんならディメンタスもヒュー・キース・バーンが演じないといけなかったんではないかと思う。

なお、今回は前作ほどフェミニズムの作品/物語には感じなかった。フュリオサ含め搾取されている女性たちは現れるけど前作の設定以上のものは出てこない。だから今回はフュリオサというキャラクターのヴィジュアル・ムービーをやりたかったというところではないのかなぁと思う。

あとヒュー・キースなしでイモータン・ジョーやるならライティングや撮影がもっと工夫して凄みのあるようにやんないといけないのに全然適当なんだよな。イモータンのいるシーンは全部間が抜けていた。やっぱりMMFRの撮影監督やってたジョン・シールは偉大だったんだなと思わざるを得ない。映画は監督の才能だけで作られるものではない。
BATI

BATI