竜どん

毒娘の竜どんのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.5
もっとサイコなホラーを想像していたが、存外社会派要素を内包する真面目な作品(…かもしれない)。恐怖の毒毒娘ちーちゃんの活躍よりも主人公萌花の属する家庭問題が主軸になってしまっているのは好みが分かれそうなところ。

冒頭萌花の「ママさん」という呼称に違和感を覚える間もなく、オブラートに包んだ父親のモラハラ感が全編を包む。突如として襲来したちーちゃんの存在は家族を恐怖に陥れるかに見えたが、萌香とちーちゃんの関係は意外や意外な方向に。

抑圧:父親
共生:継母
解放:ちーちゃん
主人公視点からのキャラクター各々が担う役割はこんなところか。家庭環境に問題を抱える少女二人の孤独と共感を描きたかったのだろうが、観ているこちらがむず痒くなる様なソフト百合描写って必要だったかね。その方向で最後まで行くならまだしも、意外と理性的で意思の疎通がはかれる現実的な存在としての萌花のちーちゃんへの評価が、椿への攻撃で再度反転してしまうのは些かアンバランス。さらに「要らないのは母親ではなくパパの方」が共闘する行動原理だった筈なのに、継母を襲っちゃやっぱりヤバい奴ってならないか?相互理解などさせずにもっと理不尽なスーパーナチュラルな存在にしてしまった方が腑に落ちた様な気がする。
まぁホラー映画っぽいラストに収まったのは褒めてもいいかな。

追記
真紅に彩られたちーちゃんのビジュアルは存在感アリ。案外人目につく場所をウロウロしてんのね。放り投げたペットボトルコーラのCGかと見紛う見事なホバークラフティングな挙動は偶然の産物?
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