前髪メガネ

毒娘の前髪メガネのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.9
裁ち鋏の使い方がスリラーとして最高✂️

夫と娘と3人で中古の一軒家に引っ越してきた萩乃。家族に恵まれずに育った彼女にとって、自ら築いた家庭で過ごす日々は夢にまで見た幸せな生活だった。そんなある日、外出中の萩乃のもとに、娘の萌花から助けを求める電話が掛かってくる。慌てて帰宅すると我が家は荒れ果てており、そこには洋服を切り裂かれた萌花に馬乗りになって大きなハサミを握りしめる見知らぬ少女の姿があった。その少女「ちーちゃん」はかつてこの家に暮らしていたが、ある事件を起こして町を去ったはずだった。ちーちゃんの存在は、幸せそうに見えた萩乃たち家族が隠してきた“毒”を暴き出していく。

漫画家押見修造がちーちゃんのキャラデザを担当して、監督もミスミソウの監督という事で鑑賞。
いやー、エグい。

単純に怖い女の子が出るホラーってだけでなく現代に隠れている嫌な所を描いている。
というか登場人物がほぼどこかがおかしい。

モラハラな旦那や主体性のない後妻。
引っ越してきたばかりで交流もないのにそれなりな労力を頼みつける隣人に傷害事件でも機能しない警察。

ちーちゃんと旦那のインパクトが強いから薄まって見えるけどみんな関わりたくない人たち。

ちーちゃんの両親もぶっ壊れてて、深瀬家のifの未来像にも思えた。
あの土地が良くない運気で包まれていて元々の良くない素質をあの家が増幅させたのかとか思ったけど、旦那その前からぶっ壊れてたから関係ないか。あるいはそういった人を呼び寄せるナニカがあの家にはあるのか。
そう思うとちーちゃんが騒動を起こしてでもあの家に固執する理由にはなるのかな。

てかちーちゃんのあの手この手が恐ろしくもあり、スリラーとしては素晴らしかった。裁ち鋏という、ゴツメな武器で出せる最大限の恐怖感を出しながらも蜂や毒、ガス等を使うという手広さ。多分もっと見せ場を作れば色んなバリエーションを出せそう。

一応本作はオリジナル脚本になるけど、押見修造による前日譚マンガ「ちーちゃん」がwebで公開されているらしく、恐らくそこで失明したクラスメイト等が触れられたり家庭環境やネグレクトのシーンを扱っているのかもしれない。
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