りっく

毒娘のりっくのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.7
内藤瑛亮ならではの反骨精神とポップで苛烈な暴力描写がありつつ、毒娘同士のガールミーツガールと、母親と再婚相手の連れ子との女性としての共鳴が物語の軸となっており、男性中心の社会への反逆と、そんな枠にとらわれずに家に越してくる幸せな家族幻想をぶち壊そうとするちーちゃんの惚れ惚れする孤高のテロリズムが作品をグイグイと引っ張っていくエネルギーがある。

物語に登場する女性たちと観客のヘイトを一手に引き受け、終盤でそれをカタルシスに変える働きをする旦那=父親のステレオタイプを避けたクズっぷりが素晴らしく、特に序盤から家族という言葉を盾に、主導権を握り続ける言動の丁寧な積み重ねがあってこそ、中盤から終盤にかけての爆発力につながっている。

ちーちゃんの両親や警察のあまりの無能さや、あまりにも不用心な両親の隙の甘さなど、リアリティという側面では気になる点も少なくはないものの、それを吹き飛ばすほどの魅力が確かにある快作だ。
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